美容クリニックの広告などでよく見かける脂肪溶解注射。
「脂肪細胞を破壊」
「〇%脂肪細胞減少」
「〇年無事故」
といったキャッチコピーを見ると、
「脂肪細胞がなくなるなら太らないのでは?」と思う人も多いのではないでしょうか。
しかしここで一つ疑問が出てきます。
脂肪細胞を減らしたあとも同じように食べ続けた場合、余ったカロリー(脂肪)はどこに行くのでしょうか?
今回はこの疑問について、医学的な知見をもとに解説していきます。
ただし、脂肪溶解注射を完全に否定する内容ではありません。メリットと注意点をバランスよく整理します。
余ったエネルギーは「異所性脂肪」になる
体は摂取したエネルギーを基本的に脂肪として蓄える仕組みになっています。

通常は、余剰エネルギーは皮下脂肪として蓄えられます。
しかし、皮下脂肪が蓄えられる容量を超えるとどうなるか。
その場合、エネルギーは
内臓
筋肉
肝臓
などに蓄えられます。
これを異所性脂肪(いしょせいしぼう)と呼びます。
これは個人的な意見ではなく、医学的にも指摘されている現象です。
参考研究としては、以下のような論文があります。
これらの研究では、
皮下脂肪容量を超えたエネルギーは異所性脂肪として内臓などに蓄積される
内臓脂肪は皮下脂肪よりも炎症性が高い
といった点が指摘されています。
内臓脂肪は皮下脂肪より健康リスクが高い
脂肪には主に次の2種類があります。
皮下脂肪
皮膚の下につく脂肪
エネルギーを比較的安全に貯蔵できる
内臓脂肪
内臓の周囲につく脂肪
炎症性が高い
インスリン抵抗性を引き起こしやすい
研究では、内臓脂肪は
生活習慣病
老化促進
糖尿病リスク
などと関係があることが知られています。
つまり体にとっては、
皮下脂肪の方が比較的「安全な貯蔵場所」
という見方もできます。
皮下脂肪を減らしすぎるとどうなる?
一部の美容医療では、
「皮下脂肪を減らす施術」を積極的に勧められることがあります。
しかし理論的には、皮下脂肪を減らしすぎると
余剰エネルギーが内臓脂肪として蓄積される可能性
が高まるとも考えられています。
そのため、脂肪を減らす施術については
仕組みを理解した上で選ぶことが大切です。
とはいえ脂肪溶解注射を完全否定する必要はない
ここまで読むと、
「脂肪溶解注射は意味がないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
脂肪溶解注射には次のようなメリットがあります。
部分的な脂肪を減らせる
ダイエットでは、
あご下
フェイスライン
膝周り
などの細かい部分脂肪は落ちにくいことがあります。
脂肪溶解注射は、こうした
局所的な脂肪を調整する施術として使われることがあります。
【二重あご】脂肪溶解注射の効果はいつから?後悔しないための現実と費用
この記事の監修者佐藤 理恵(さとう りえ)/美容皮膚科医(医学博士)専門領域は、非侵襲的(切らない)な輪郭形成治療。大手美容クリニックで年間1,000件以上のカウンセリングと施術を経験後、...
手術よりダウンタイムが少ない
脂肪吸引と比較すると
傷がほぼ残らない
ダウンタイムが短い
というメリットがあります。
そのため、
「体重を落とす」目的というより
「ボディラインを整える」目的
で使う施術と言えるかもしれません。
切らずに部分痩せ?『脂肪溶解注射』の仕組みと期待できる効果を徹底解説
「食事制限や運動を頑張っているのに、二重アゴが消えない」「二の腕のタプタプだけがどうしても落ちない」ダイエットの経験がある方なら、こんな「部分痩せ」の壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。特定...
本当に体脂肪を減らすなら基本はカロリー収支
もし本当に体脂肪を減らしたいなら、
最も確実なのはシンプルな方法です。
それは
消費カロリー > 摂取カロリー
の状態を作ることです。
例えば成人女性の場合、
基礎代謝はおおよそ約1200kcal前後と言われています。
つまり、
1日の摂取カロリーを約1200kcal程度以下に調整する
生活を続ければ、理論上は体脂肪は減少していきます。
この状態が続けば
体重は増えにくくなる
徐々に適正体重に近づく
というシンプルな仕組みです。
まとめ
脂肪溶解注射で脂肪細胞を減らしても、
食生活が変わらなければ余剰エネルギーは
内臓や筋肉に異所性脂肪として蓄積される可能性
があります。
また、
皮下脂肪は比較的安全な脂肪
内臓脂肪は炎症性が高く健康リスクがある
という研究もあります。
ただし脂肪溶解注射は
部分的な脂肪調整
フェイスライン改善
などには役立つ場合もあります。
大切なのは、
施術だけで痩せると考えないこと。
本当に体脂肪を減らしたいなら、
やはり基本は
摂取カロリーと消費カロリーのバランス
を整えることです。
美容医療はあくまで補助的な手段として考えるのが、
最も現実的な付き合い方かもしれません。
脂肪溶解注射は顔・腕・お腹など複数部位に打っても大丈夫?実際の効果と体験談
脂肪溶解注射について調べていると、「顔だけでなく、腕やお腹、脚などにも打てる」といった説明をよく見かけます。そこで気になるのが、 顔・腕・お腹など複数部位に打っても大丈夫なのか 一度にたくさんの部位に...



